妻の誕生日には毎年、椅子を作ってプレゼントしている。
仕事ともコンテストとも違って結果を気にせず、ただお気楽に作れる年に一度の機会になっている。
彼女は俺の妻であり4人の子の母親でありKOMA shopの店主でもある。
20歳から15年勤めた百貨店を早期退職して「しばらくゆっくりしようかな」なんて言っていた妻に「どうしても今このタイミングで直営店をやって欲しい」などと無理を聞いてもらってKOMA shop は2013年に小さく10坪でスタートした。
あれから7年、少しづつ成長しながら今年で100坪近くにまで広くなったのは他ならぬ彼女の力によるものだ。
家具職人の修行を始めてすぐに結婚をして、その年に生まれた長女が2歳になった頃、突然「独立することにした」と言う俺に彼女は少しも反対しなかった。
独立をして程なく長男が生まれたが、俺は給料が稼げず、飯も食えずアパートの家賃すら払えない。それでも彼女は一言も文句を言わなかった。
それから何年かして少しはマシな生活ができるようになった頃、なぜ小言の一つもこぼさなかった?と聞いてみた。
「頑張れる男だと信じているから」と一言。