Diary
一番好きな樹種は?と聞かれればチークと答える。
油分を多く含んでいて水に強く狂いも少ない。硬度としなやかさのバランスも良く木材として優れている。
そして他の木材とは明らかに違うしっとりとした触れ心地と経年で濃く赤く艶やかに育っていくのもチークが持つ特徴だ。
木材を切ると樹種によって甘いや酸っぱいなどそれぞれ特徴的な香りが工房に漂う。
チークの香りはツンと尖ってグッと重くてフワッと柔らかい。なんとも表現しづらいが数ある樹種の中でもやはりチークの香りが一番好きだ。
そして削った際に出る粉も他の樹種とは明らかに違う。普通はサラサラだがチークはモチモチしていて握って固められるほど油分が多い。
しかし作り手にとってはこの油分が厄介で、刃物に纏わり付いてすぐに切れなくなってしまう。機械の刃も鉋などの手道具も何度も研ぎ直しながら加工を進めなければならないが、そんな苦労も消し飛んでしまうほど仕上がったチークの木肌は滑らかで心地が良い。
今となっては上物のチークは見かけることすらほとんどない。
だから何かのご縁でたまたま手に入った時は、コイツをどう活かそうかとワクワクしてしまう。
チークとはそんな材木です。